音楽療法の西です。
爽やかな秋晴れの朝に空を見上げると・・・
西:(天気良いなあ~こういう日は仕事もいいけどドライブとかしたいな・・・( ̄▽ ̄))と思ってしまいやすい西ですが(笑)人間、時には仕事へ行くことに少し億劫になる時もありすよね??西は音楽療法を始めたばかりの新人の時は本当に仕事から逃げたくなる事もしょっちゅうありましたが今では、そこまで落ち込むことはなくなりました。少し大人になれたのかもしれませんが、それ以上に思うことがあるんです。
西:(いやいや、今日もどんなギャップが見られるか・・音楽療法はやってみないと分からない面白さやその時の出会いがあるし・・行くか)
と、すぐに気持ちが切り替えられるようになりました。
音楽療法士の資格取得から9年以上経ち、高齢者領域の音楽療法の面白さをぐっと面白く感じられるようになってきたんです。その一つが今日のテーマ【ギャップ】、普段見られない一面についてのお話しです。
とある特養でのお話し。
99歳になるTさんはご高齢なこともあり、日中フロアにいる時はほとんど下を向いて傾眠されています。西がシャローム横浜へ来た10年前は自分でフロア内を歩いていて得意な習字や華道で腕前を披露されていた、芸術肌の方でした。
車椅子生活となり自分での移動、自操はされません。会話も自分から話すことがほとんどありません。そんなTさんと月に一回ほど個別音楽療法をしています。
西:Tさんこんにちは。音楽療法始めます。宜しくお願いします。
Tさん:・・・・・(-_-)
ここ2年程、うつむいたままですぐに反応が見られないこともあります。
そこで歌集を開いてうつむいたままのTさんの膝上に置き、音楽療法士でピアノを弾きます。今日は秋らしく『紅葉』を選曲しました。明治の曲なので、90~100歳代の方達にもおなじみの歌です。
ゆっくりと前奏を弾くと、それまで閉眼してうつむいていたTさんが目を開けてゆっくり顔を上げて
Tさん:「あーきのゆーひーにー・・」とピアノに合わせて歌い始めました。
西:(Tさんキター!(;・∀・))と心の中でガッツポーズ(笑)
その後Tさんは歌集を見ながら最後までよく響く声で紅葉を歌ってくれました。習字をされていたので、漢字もおおよそ読めますし声量もお腹から声がだせるので廊下に響くほど歌ってくれるのです。
西:Tさん、歌ってくれましたね。よく声出てましたね!それで、この歌詞の中に囲炉裏とありますけど、Tさん囲炉裏って使ってましたか?」
Tさん:「囲炉裏?そりゃ昔の人間だもの。昔の田舎の農家は皆、囲炉裏は使ってたよ。あんた使ったことないの?」
西:「私は囲炉裏使ったことないです。子供の時からガスストーブだったので。どうやって使うんですか」
Tさん:「囲炉裏どう使うって・・・あんた知らないの?!・・はー、不思議だねぇ・・」
西:(呆れた顔してる(笑)世代違うし、、しょうがなくない!?(;'∀'))
これぞ、埋めることのできないジェネレーションギャップ。
会話をする中でTさんは時にちょっと毒舌染みた返しをされるのですが、それは覚醒が高まっている証拠です。ちゃんと集中を持って関わってくれているので、嬉しい限りです。Tさんとの個別音楽療法はフロアでの姿と違った【ギャップ】を感じられる時間の一つです。
後で、数名の介護職員とのミーティングでTさんとの音楽療法の様子を報告しました。
介護職員Eさん:「あ、俺もさっきTさん歌ってるなーってチラっと見ました。あんなにしっかり歌うの初めて見ましたよ」と教えてくれました。
毎日のように関わっている介護職員でもなかなか普段の関わりでは見られない姿を音楽療法で報告を聞いたり実際に少し見て、その【ギャップ】を感じてもらっています。それだけ、音楽療法は音楽の力が大きく心理面に作用して、普段は引き出されにくい一面を引き出してくれるのです。
これからも、認知症の方達との音楽療法で見られる【ギャップ】を楽しみながら続けていきます。
今日はここまで。