2021年10月29日金曜日

ギャップがあるから面白い音楽療法

 音楽療法の西です。

爽やかな秋晴れの朝に空を見上げると・・・

西:(天気良いなあ~こういう日は仕事もいいけどドライブとかしたいな・・・( ̄▽ ̄))と思ってしまいやすい西ですが(笑)人間、時には仕事へ行くことに少し億劫になる時もありすよね??西は音楽療法を始めたばかりの新人の時は本当に仕事から逃げたくなる事もしょっちゅうありましたが今では、そこまで落ち込むことはなくなりました。少し大人になれたのかもしれませんが、それ以上に思うことがあるんです。

西:(いやいや、今日もどんなギャップが見られるか・・音楽療法はやってみないと分からない面白さやその時の出会いがあるし・・行くか)

と、すぐに気持ちが切り替えられるようになりました。
音楽療法士の資格取得から9年以上経ち、高齢者領域の音楽療法の面白さをぐっと面白く感じられるようになってきたんです。その一つが今日のテーマ【ギャップ】、普段見られない一面についてのお話しです。


とある特養でのお話し。

99歳になるTさんはご高齢なこともあり、日中フロアにいる時はほとんど下を向いて傾眠されています。西がシャローム横浜へ来た10年前は自分でフロア内を歩いていて得意な習字や華道で腕前を披露されていた、芸術肌の方でした。

車椅子生活となり自分での移動、自操はされません。会話も自分から話すことがほとんどありません。そんなTさんと月に一回ほど個別音楽療法をしています。

西:Tさんこんにちは。音楽療法始めます。宜しくお願いします。

Tさん:・・・・・(-_-) 
ここ2年程、うつむいたままですぐに反応が見られないこともあります。

そこで歌集を開いてうつむいたままのTさんの膝上に置き、音楽療法士でピアノを弾きます。今日は秋らしく『紅葉』を選曲しました。明治の曲なので、90~100歳代の方達にもおなじみの歌です。

ゆっくりと前奏を弾くと、それまで閉眼してうつむいていたTさんが目を開けてゆっくり顔を上げて

Tさん:「あーきのゆーひーにー・・」とピアノに合わせて歌い始めました。

西:(Tさんキター!(;・∀・))と心の中でガッツポーズ(笑)

その後Tさんは歌集を見ながら最後までよく響く声で紅葉を歌ってくれました。習字をされていたので、漢字もおおよそ読めますし声量もお腹から声がだせるので廊下に響くほど歌ってくれるのです。

西:Tさん、歌ってくれましたね。よく声出てましたね!それで、この歌詞の中に囲炉裏とありますけど、Tさん囲炉裏って使ってましたか?」

Tさん:「囲炉裏?そりゃ昔の人間だもの。昔の田舎の農家は皆、囲炉裏は使ってたよ。あんた使ったことないの?」

西:「私は囲炉裏使ったことないです。子供の時からガスストーブだったので。どうやって使うんですか」

Tさん:「囲炉裏どう使うって・・・あんた知らないの?!・・はー、不思議だねぇ・・」

西:(呆れた顔してる(笑)世代違うし、、しょうがなくない!?(;'∀'))
これぞ、埋めることのできないジェネレーションギャップ。

会話をする中でTさんは時にちょっと毒舌染みた返しをされるのですが、それは覚醒が高まっている証拠です。ちゃんと集中を持って関わってくれているので、嬉しい限りです。Tさんとの個別音楽療法はフロアでの姿と違った【ギャップ】を感じられる時間の一つです。

後で、数名の介護職員とのミーティングでTさんとの音楽療法の様子を報告しました。

介護職員Eさん:「あ、俺もさっきTさん歌ってるなーってチラっと見ました。あんなにしっかり歌うの初めて見ましたよ」と教えてくれました。

毎日のように関わっている介護職員でもなかなか普段の関わりでは見られない姿を音楽療法で報告を聞いたり実際に少し見て、その【ギャップ】を感じてもらっています。それだけ、音楽療法は音楽の力が大きく心理面に作用して、普段は引き出されにくい一面を引き出してくれるのです。

これからも、認知症の方達との音楽療法で見られる【ギャップ】を楽しみながら続けていきます。

今日はここまで。


2021年10月27日水曜日

音楽療法は集いの場になりやすい。

 音楽療法士の西です。

コロナウイルスが発生してから、それまで集団での活動がメインだった音楽療法は感染対策の為、個別音楽療法に切り替えて現在も続けています。

ただ、どうしても良い音楽は(?)人を惹きつけてしまうようです。今日はそんなお話。
特養で個別音楽療法の最中、とある車椅子のご利用者が近づいてきました。「音楽が聞えてきたから私も一緒に参加したくて・・・」とどうやら居室から音楽を聞きつけて自操で来てくれたようです。

このコロナ禍で認知症が進行して自発性の低下が顕著に見られるご利用者も多い中で、自発的に行動を起こして音楽療法へ来てくれるのは非常に嬉しいことです。

ただ、まだコロナの収束が見えず第6波の懸念もある中で、現在も個別対応での実施を基本としているので、まずは事情を説明します。

西:「〇〇さん、来てくれたんですね。嬉しいです。ただ、今もコロナがまだ終わっていないので、一人づつの音楽活動になるんですね。次に必ずお呼びしますので、お部屋で待って頂けますか?次に呼びますので音楽やりましょう」

と言うと、すぐに状況を理解して「分かりました」と答えて戻って待っていてくれる方もいます。自分から来てくれた方には、必ずその次の順番で音楽療法をやるようにしています。せっかくの意欲を無下にはできませんから。

そうやって説明すると次の順番で来てくれる方もいればこんなこともありました。


個別音楽療法開始してすぐに、とあるご利用者が一人でフロアから歩いて来ました。

Uさん:「ねえ、私も参加していい?楽しい音楽が聞えてきたから」

西:「次の順番で呼びますので、一度席に戻ってもらっていいですか?一人ずつの参加なのですいません。次に呼びますね( ̄▽ ̄)」

個別音楽療法は15分以内です。始まったばかりなのでUさんには一度戻ってもらいましたが、10分後・・

Uさん:「ねえ、私も参加したいんだけどいい?楽しそうだから来ちゃった」

西:(さっき説明したけど、来ましたか 笑)
「えーと、もう少しで終わるので・・一度戻って・・もらわなくていいか。じゃあ、この椅子に座って待っててくださいね、次すぐやりましょう」

と距離をとって設置して座って待って頂くこともたまにあります。認知症フロアでは一度説明するも忘れて再度来られる事も少なくありません。西にとって15分はあっと言う間に思えてもご利用者の中にはその15分は長いのかもしれません。


またこんな事も。

Tさん:「ねえ、お姉さん。トイレこっち?」

西:「トイレはこっちじゃなくて反対で向こうですよ」

Tさん:「そうなの?音楽聞えてきたからこっちなのかなと思って」

西:(どんな解釈やねん・・笑)

と、音楽が聞える方向へ、音楽に参加意志なくても引き寄せられることもあるんですね。

環境によって完全に音楽が閉鎖されていない場所での音楽療法の実施では、時に個人の意欲が見られたり、興味を引き寄せる集いの場にもなる為、ご利用者と面白いやりとりもあります。

そんな面白さも味わいつつ、音楽療法を続けていきます。

今日はここまで。









2021年10月22日金曜日

音楽療法士といっても、音楽だけじゃないのよ。

 音楽療法士の西です。

気温差や葉が色づくのを見て秋が深まっていくのを感じる毎日です。日中に爽やかな風が吹くと、お散歩したくなります。出来てないけど(。-∀-)


さて、今回は西の活動の紹介です。これまで、音楽療法士はケアプランに出て音楽療法に参加しているご利用者の様子を他職種に伝えたり、介護の業務にも少し携わって現場を見ている、ということを書きました。

他にもあるのですが、今日は「折り紙」です。

え?折り紙?それだけ?

それだけです(笑)

先日、認知症フロアでとあるご利用者と折り紙をしました。その方は以前、千羽鶴を折ったことがあるというので、一緒に折り紙しましょうと声をかけて一緒に鶴を折りました。ただ、西は鶴を折るの数年ぶりだったので、途中で

西:あれ・・次はこうだったっけかな・・?(゜_゜)

と、一度手が止まり隣で折っている手順を見て思い出すという情けない事態となりました(笑)

ここまで読むとなんだ、ただ遊んでいるだけ?と思われてしまいそうですが、、今のコロナ禍で外部からボランティアの受入ができなかったり介護人員不足の深刻化で、ご利用者としっかり時間をとって真剣に遊ぶことをどれだけの老人施設で出来ているのでしょうか?感染対策も続けながら個別に合わせたレクや趣向の対応を充実していくことは、施設ごとに難しさを感じています。

と同時にコロナ前の家族との自由な面会や外部からのレクでの刺激がご利用者の活気へ大きな影響を与えていたのだなと、実感せずにはいられないのです。

そして今現在、ご利用者の中にはテレビや読書、編み物など自分で楽しまれている方もいるのですが、中には「何もやることがない」「何もやりたいことがない」「一人では出来ない、面倒くさい」と言われて部屋にこもってしまったり、日中フロアで傾眠がちになってしまう方が増えています。意欲が低下し始めた方にはまず音楽療法で関わってみようとするのですが、全ての方が音楽に興味を持つわけではありません。音楽療法を断られ、でも他に特にやりたいことが無いという方に対して認知症の急激な悪化やフレイル予防のためにも、施設内の職員等での余暇活動の工夫が必要です。

そこで西はここ1年ほど特養では個別にキャッチボールをしたり居室へ訪室して雑談をしたり、体操の指導だけを始めたりと音楽療法以外にも少し幅を広げて活動しています。97歳の方と速いスピードでボールのラリーをしたり、始め面倒くさそうでも折り紙中は黙々と手元に集中していたり、塗り絵の色を選ぶときに笑顔が見られたりと、フロアで座っているだけでは見られない【その人らしさ】が垣間見られるんですね。余暇活動って本当に大事です。

楽しさや集中できる時間、場所、機会を個別に引き出して短い時間でも活動を継続していくことはそれなりに大変です。音楽療法士がその役割を担うことも今のコロナ禍ではニーズの一つだと思うので、これからも「今、楽しい!」「楽しかった!」と思ってもらえる時間を一人でも多くのご利用者と共有できるよう音楽以外の活動でも頑張っていきます。


あ、鶴の折り方はもうバッチリです(。-∀-)
今日はここまで。








2021年10月15日金曜日

オンラインの乱れと心の乱れ。

 音楽療法士の西です。

本日の午後はオンライン音楽療法でした。
先週、訪問して対面で活動をしましたのでオンラインは二週間ぶりだったんです。いつものように準備する時間になり、西は楽器とパソコン機材とオンラインの設定をしてスタンバイしておりましたが・・・・。


西:・・ん?繋がらないなー。デイサービスは忙しいのかな?もう一回オンラインの設定をし直してみるか(。-∀-)


と、いつもは繋がっている時間帯でも今日はデイサービス側のアクセスがまだ来なくて、こちらは待つしかない状態。いつも時間きっちりにつなげてきてくれるのですが・・。


西:あんれー?珍しいな。少し待ってみるか。うん、まだ時間あるし・・(*'▽')
  

でも、やはり何回やり直しても繋がっていない状態となりました。こうなると、お互いにスマートフォンで連絡をしてどのような状況かを確認をすることにしています。画面を開くと、既にデイサービスの職員から連絡が来ていました。西の方で気づかず(汗)


西からも電話をかけてみますが・・出ません!少し待ってから二回目の電話をかけて、更に少し長めに待ってみますが・・・・・・やっぱり出ません!音楽療法開始時間1分前です。ここまで来ると西も少し焦り始めます。


西:えー何で繋がらない!?こっちのパソコンの問題か!?どうしよう・・(; ・`д・´)


と少し迷った末、少し時間はかかりますが再起動してみることにしました。稀にこちらのパソコン自体がアップデートの更新が溜まっていると、オンラインがうまく作動しないことがあるからです。朝に必ずパソコンを開いてアップデートの確認はしているのでが・・時間は過ぎていくので、西の気持ちは焦るばかりです。


再起動が終わって再度オンラインの設定をしてみると、デイサービスからのアクセスがあり・・やっと繋がりましたー( ;∀;)
画面にデイサービスの職員とご利用者の皆様が見えて安心しました。結局、7分ほど開始時間が遅くなってしまいましたが、それでも皆様は温かい拍手で迎えてくれました。


ほっと緊張感がほどけた為か、紅葉のピアノ演奏で思いっきり派手に音を間違えてしまったり、頭の体操の指示で間違ったことを言ってしまったりと、ややミスが目立ってしまいました。焦ってしまった後の切り替えがうまくできていなかったのですね、反省。(-_-メ)

音楽療法士も医者やカウンセラーや他の職種と同じように、どんな時でも平常心を保つことが求められます。以前にも書きましたが、心の状態が演奏に表れてしまうこともあるからです。

相手が機械であっても毎回同じようには、いかなかったりする。今回のようなハプニングがあっても臨機応変さと柔軟さ、そして平常心を保てるようにもっと鍛錬していかなければと感じた今日のオンライン音楽療法でした。

平常心を保つといってもどうしたらいいのでしょう?滝修行に行く・・・いや、もう少し考えてみます(。-∀-)


紅葉の歌を個別音楽療法でもたくさん歌って秋を感じています。

今日はここまで。









2021年10月13日水曜日

耳の遠い方との音楽療法での関わり方 Vo.2

音楽療法士の西です。

耳の遠い方との音楽療法について第一回目ではカンペを使用し、視覚からのアプロ―チをしていく方法を紹介しました。
今回は第二回目です。楽器活動での触覚からのアプローチ方法をご紹介しましょう♪

➁色物の楽器やボールを入れた活動をプログラムに入れる。
耳の遠い方の中には歌や特に言葉の説明の時間が多いと、聞こえにくい分集中が低下しやすい傾向が見られます。途中から傾眠されてしまうこともあります。

そこで色のついた楽器、例えば鳴子やミュージックベル、レインボースティックなど簡単に握れて音が出る物を使用し合奏をします。カンペを使わずとも楽器を手渡し、目の前で音を出せば音楽療法士の真似をして楽器を鳴らしてくれる方が比較的多いです。もし、何をすればよいのかポカンとしていたり「鳴らすの?」と聞かれれば、またカンペやボードに「鳴らしてみましょう」「振りましょう」とその場で書いて指示を出します。
周囲が打ち始めれば集団心理が働き真似して取組み始める方もいます。

ボールを使った体操も同様です。ボールが手に触れると落とされる方もいますが、それはそれでボールへの意識が向き、しっかりとボールを持ってくれます。その次に上にポーンポーンと投げて一人キャッチボールをすると声掛けしなくても大抵すぐ真似してくれます。
そうして自然と音楽体操につなげると、細かい言葉の説明がなくとも音楽療法士を見ながら取り組んでもらえる確立が高いのです。

いかがでしたか?西は昔は耳の遠いご利用者の耳元で大きな声で活動の指示を逐一説明をしていました。これ、結構労力いるんですよね。時間の効率もあまり良くなかったりします。
でも現在は工夫次第で耳の遠い方も楽しめる方法を活用しながら、どの現場でも円滑に活動を進めたりコミュニケーションをして楽しい時間を作れています。

今日はここまで。

気温差の激しい時期です。西はどうやら寒暖差アレルギーがあるらしいです(´;ω;`)
皆様ご自愛ください。







2021年10月6日水曜日

耳の遠い方との音楽療法での関わり方

 音楽療法士の西です。

西は法人が運営している施設を曜日ごとに回って音楽療法を行っているのですが、どの現場にも必ず耳の遠い方がいらっしゃいます。年を重ねていくと体の機能が徐々に変わっていくことは自然なことで、難聴傾向になっていくのもまた然りなのです。

西が新人の頃は難聴の方とのコミュニケーションや音楽療法最中の関わりに本当に苦労しました。こちらの言いたいことや活動の指示がうまく伝わらずに相手を困らせてしまったり、 「もういいよ!(-_-メ)」と怒らせてしまったことも数知れず。

じゃあ、やっぱり耳が聞こえないから音楽活動はできないのか?というと、10年以上の経験を重ねてきた西からの答えはNO!です。

できます!耳が全く聞こえてなくても音楽活動はできます!

今回は普段から行っている難聴の方との音楽療法での工夫を紹介しましょう♪


①カンペを使う。
活動の指示や声掛けは視覚からでもできます。ある程度の文字を読めるレベルの方や集団の活動での使用がメインとなりますが、耳元で個別に伝えるよりカンペを出すことで指示を伝える効率性もあがりますし、意識を音楽療法士へ向かせることもできます。
指示する内容や声掛けでよく使うフレーズをいくつかに絞り、それを太文字で印刷しA3サイズのファイルに自作して使うのです。

とあるグループホームでは9名中3名の難聴の方が参加しています。補聴器を使用されている方もいますが、耳元でだいぶ大声でゆっくり話しても「聞こえない」と言われてしまうことが多いです。コミュニケーションを図ろうとしても「聞こえない」「分からない」と手を横に振って関わりがすぐに終わってしまいがちでした。そこで、3人隣で座って頂き、カンペを使い始めてから一人は読んだ後に頷いてくれるようになり、一人は声に出してカンペを読むようになりました。活動への参加意欲が格段と上がったと感じています。大声を出して指示出しができない今のコロナ禍にも役立つと思います。

二つ目はまた次回にご紹介します。
今日はここまで。







2021年10月1日金曜日

生演奏っていいね。

 音楽療法士の西です。

とあるデイサービスでの音楽療法でのお話。最近ご利用を始めたJさんは以前、歌の講師をされていました。フロアで流れているCDの曲はおおよそ知っていて、いつも「ふんふーん♬」と小さくハミングしています。音楽が好きなんだなーと西もいつも感じています。

そんなJさんとの個別音楽療法は、白い電子ピアノを使用して行います。

西:「今日もピアノ使いましょう!ヽ(^o^)丿」
Jさん:「わー良いねえ(*‘∀‘)」

と電子ピアノを見るとパッと明るい表情を見せてくれました。

この日は雨が降っていたので雨にまつわる選曲にしようと相談し、『有楽町で逢いましょう』『せんせい』など音楽療法士のピアノ演奏に合わせてJさんに歌ってもらいました。楽譜を見ながら集中してハミングをしてくれます。音程バッチリ、のびやかで優しい声です。さすが歌の先生。演奏ごとに「わー出来たね」とマスク越しで微笑んで拍手をしてくれます。

4曲ほど歌ってくれた後、Jさんが言いました。

    「生演奏っていいね」


・・いや、ほんとにもう西も同感です。CDは使わず、生演奏にこだわっている理由は音楽療法士とJさんとの呼吸の一体感を感じられ、その日その時にしか作れない音楽の楽しさがあるからだと思います。

フロアで流れているCDに合わせて座って静かにハミングしているJさんも、もちろん素敵ですが、音楽療法ではピアノの隣に来ると毎回座ろうとせず、立ったままで体を僅かに左右に揺らしながらビートを感じて主体的に歌います。ちょっとテンポがズレそうになっても音楽療法士で合わせたりJさんでも合わせてくれたりで結果的に「出来た」と思える一曲になるんです。これが生演奏の良さであり、音楽療法の良さです。

Jさんはデイサービスを利用されたと同時に精神薬を飲み始めたり、認知症状も強く見られる日もあったりで、日常生活の中では音楽療法の時のように穏やかな面だけではありません。それでも、週に一回、ピアノの前に来られると「あー懐かしいねえ」と純粋に音楽に楽しむ姿が毎回見られると、改めて音楽の力はすごいと思います。白い電子ピアノの存在もまたJさんにとっては大きいと思います。時に「これね、ピアノの音より少し高めで歌うんだよね」と、鍵盤を指して講師の顔ものぞかせます。西も歌のプロに刺激を受けながらセッションをさせてもらっています。

これからも生演奏の良さを感じつつ、音楽療法を続けていきます。

今日はここまで。


台風シーズン到来!(; ・`д・´)


読んで頂きありがとうございました。

  音楽療法士の西です。 シャロームの外では梅の花が満開に咲いています。 春の訪れに少しワクワクしてくるのは私だけでしょうか(´▽`*) さて、これまで50回のブログを投稿してきましたが、このブログは閉鎖することになりました。読み続けてくださった方がいましたら、本当にうれしい限り...