2021年12月30日木曜日

今年の音楽療法も終わりました。

 音楽療法士の西です。

本日、年内最後の音楽療法をしました。特別何か大きなことをするわけではありませんが、ご利用者一人一人に「また音楽やりましょうか」の声掛けをするのが恒例です。認知症の程度により全く無反応の方もいれば、「そうだね、また歌おう!」と返事を聞かせてくれる方もいます。

本当に今年も新型コロナウイルスの影響を受けながら、実施の方法に悩んだ一年でもありました。第5波最中は特に毎日が緊張感の高い中でのセッションでした。でもあまり感染対策ばかりに気を取られ過ぎてご利用者との心の距離感が離れてしまわないように工夫して働きかけてきました。

その中で感じたのは、ご利用者の表情や発語、発声が顕著に乏しくなってしまった事実があるという事。改めて感染対策で三密を守るということは、命が守られる確率は高まりますが、同時に個性が薄れたりADLの顕著な低下を招く確率も高めてしまうのだと現場で感じました。

コロナ禍で感染対策を一番に考えれば音楽活動を果たして続けていいものかとも思いましたし、自己満足で終わってないかなと考えた時期もありました。でも、やっぱりご利用者の事を一番に考え続けて今日までをふり返っていみると、続けて良かったのかなとも思えました。継続できたから「また歌おう!」の約束もできるのですね。

来年もwithコロナは続くと思いますが、ケアの一つとして音楽療法で現場を支えていきたいと思います。


おまけ♬

実際の音楽療法ではありませんが、音楽療法士のセッション中の雰囲気だけでもお伝えしてみようかと、マスク無しで撮ったのをアップします。

           ミュージックベルも今年一年たくさん使いました♪
            キーボードも使って今年もたくさん歌いました♪
                 時に情熱的に。

カメラマンは某相談員Eさんです。撮影中に言われました。

某相談員Eさん:ちょっと~普段からそんな笑顔じゃないでしょ?女優だな(笑)

西:はい?いつもマスクの下はこれぐらい笑ってますけど?

某相談員Eさん:いやいや、そんなアイドルみたいな顔見た事ないけどな~(笑)

・・・失礼な(笑)西の顔は大人用マスクだと少し大きい故分かりづらいですが、時に真剣に!(`・ω・´)時に天使のような笑顔(*^▽^*)でご利用者と接して(*^▽^*)いるのですよ。少しでも伝われば嬉しいです。


今日はここまで。

良いお年を。












2021年12月21日火曜日

あ、便利。メリークリスマス&ハッピーニューイヤー。

 音楽療法士の西です。

グループホームへ向かう移動中のラジオからジョン・レノンの『ハッピークリスマス』が流れていました。まもなく訪るクリスマスを感じる事ができる一曲であり、西にとってちょっとした一曲です。

というのも、音楽療法では毎年12月中旬から、クリスマス曲を入れるかお正月の曲にするか少し迷う時期でもあります。というのも、集団音楽療法で参加されている大正後期~昭和中期生まれ世代はクリスマスにあまり馴染みがない方がいます。クリスマス曲を演奏しても「知らない・・・」「聴いたことがない」と歌唱後や演奏後に言われてしまうこともあり選曲ミスか・・・(-_-)と後々、ちょっとした後悔をしてしまうこともあるんですね。

ただ昭和中期、戦後以降生まれの世代では「知ってる」「ジングルベル演奏して」など、クリスマスに馴染みのある方もいます。集団で両者が混ざっている時はクリスマス曲もこの時期ならではの音楽でもあるので使用していくのもいいけど、馴染みがない世代はどうするかと。もうこのさい気にせず演奏しちゃうか・・?など、細かい事ではありますが一時期少し悩みました。

そこで、ジョン・レノンのこの曲。A Very ~(省略)year と聴いて何となくピーン❗と来たんです。そっか、一緒の流れで演奏しちゃえばいいのかと。

それまで何となく、クリスマスとお正月は行事として別々に考えていたので音楽療法でもクリスマス曲の回とお正月曲関連の回と分けて考えていたのですが、別に同じ回の中でやってもいいじゃないか。そうすれば、クリスマスに馴染みのない世代も一部プログラムは楽しめなくてもお正月の歌では安心して楽しめる!

ということで、近年の西の年末の音楽療法では開始すぐにまずは、ベルを持って『ジングルベル』を使って合奏をします。歌や楽器鑑賞でクリスマス曲を聴くのではなく、合奏であればクリスマス曲に馴染みない世代でもベルを振る事に意識も向くので、あまり気にしません。知っている方はサビから歌いながら演奏してくれます。

そしてプログラム最後にお正月を皆で歌います。歌詞がなくても、だいたいの方が歌ってくれます。歌唱後にお正月の準備や過ごし方などについて話題を振ると答えてくれる方もいます。今はこの流れで定着しています。
便利です、メリークリスマス&ハッピーニューイヤー。

ホントにサンキュー、ジョン・レノン(*´▽`*)この曲で西はひらめき、活動の悩みが解消されました。

時に柔軟な発想も音楽療法には必要です。そのヒントが楽曲から得られることもあるのですね。日々、たくさんの歌や楽曲を聴いてインスピレーションや発想力を鍛えていきたいと思います。

今日はここまで。




2021年12月16日木曜日

回想法っていいな。

音楽療法士の西です。

さて、今日は回想法的音楽療法のお話です。

回想法とは・・・話し手が過去の思いでを想いだして語り、話の聞き手との交流を通じて人生を振り返る。その支援をすることで話し手の心の安定や周囲の様々な人との質の高い交流を目指す援助の方法である。(大西・鈴木 2020)

とあります。コロナ禍に入ってからですが、音楽療法の中で歌唱から昔の思い出や体験を話してもらう時間を作るようにしています。感染症対策で歌唱が多くならないように配慮する為でもあるのですが、外部刺激の少ない単調になりやすい生活の中でそれなりに話題にしやすい内容が個人個人の過去の出来事や記憶です。過去の記憶を思い出そうとして懐かしみ、また話を聞いてもらうことで自分の存在価値の証明と共有ができる活動なのでアクティビティにとどまらず、心理ケアに適しています。

じつは音楽療法で懐かしい歌を歌うことも、広ーい範囲で回想法の要素を持っています。【音楽回想法】という分野もあるほど、歌う事というのは物や映像と同じように過去の記憶につなげやすいのですね。


そして西の音楽療法でも過去について話題にする為に「歌」を使います。先日の実際の音楽療法での様子です。

西:今日は『たきび』を歌いましょう♪

~♬♬♬みんなで歌唱中♬♬♬

西:たき火でした。歌って頂いてありがとうございます。ここで皆さんに聞きたいのですが昔、たき火とかしたことあります?

(数人手を挙げる)

西:Rさん、手挙げてくれてますね。

Rさん:たき火でしょ、やったことあるわよ。

西:そうなんですねー。落葉とか集めて?

Rさん:そう、家の庭で。

西:あー自分の庭でたき火したんですね。ありがとうございます。他には・・Tさんも手挙げてましたね?

Tさん:うん、普通にね。焼き芋とか作ったよね。

Uさん:焼き芋いいね。

西:わー外で食べる焼き芋美味しそう~。食べたくなっちゃいます(´▽`*)私も、子どもの頃にどんど焼きという、お正月の飾りとか焼く集まりが町内会であって、それもたきびの一つですかね?

Rさん:あーどんど焼きね。

西:そう、団子とか焼いて食べた記憶があります。昔は大きい広場とかでたき火普通にあったんですよね。

Tさん:今ってたき火できないんでしょ?

西:そうなんです、よく知ってますね。勝手に火焚いちゃうと消防車来ちゃうんですよね。申請しないとね、ダメみたいです。そこは昔とは変わりましたね。

Iさん:えーそうなの?知らなかった。

西:それだけ、都心周辺は家が密集して建っているんですよね。自分の庭でたき火できるお家は農家さんとか地方に行かないと今は難しいかもしれないですね。

Iさん:へー。


このように昔の体験したことを個別に聞き、当時の事を話してもらい懐かしさや良かった事を皆で共有します。ここでは焼き芋ネタで数名にほっこり笑顔見られました。

次に今のたき火は申請が必要というように、昔と現在とで変わった事があれば、それもなるべく話題に入れるようにしています。時代は変わっている中で【生きている今】を少しでも実感してもらう為です。他にもこれまで、冬の時期であれば囲炉裏やしもやけ、あかぎれ、雪、編み物等、歌詞の中から話題を出して回想法的な関わりをしています。

また先に歌うことで声を出す準備もできます。どの現場でも答えがスムーズに返ってきて話を進めやすいのも良い点だと思います。

改めて歌の世界観と昔当時を思い出してリンクできると、ご利用者はほっこりした気持ちになりやすいのを西も現場で感じています。より専門的な回想法なら、その効果はもっと広く深く見いだせるのでしょう。回想法って良いです❗これからも西なりの回想法的音楽療法プログラムを続けていきます。

今日はここまで。


参考文献:認知症高齢者における回想法の効果に関する文献研究(筑波大学看護学部 大西・鈴木 2020)















2021年12月7日火曜日

年内最後の音楽療法の現場で。

 音楽療法士の西です。

グループホームの一カ所が本日、年内最後の音楽療法の回でした。だからといって何か特別の事をするのではなく、いつも通り楽しく音楽活動をしました。

一階に入居者グループと二階に入居者グループに分けて実施しているのですが、どちらも、とても反応が良かったんですね。西で無意識に年内ラストの気合いでも入っていたのでしょうか?(笑)

一階では音楽に合わせてボール体操をしました。音楽療法士の投げるボールをキャッチできると周囲から拍手や笑いが起こる和やかな雰囲気だったり、ゆっくりしたストレッチから少しづつテンポアップして速く足踏みすると膝を挙げて取り組む一生懸命さだったり、とても良い雰囲気の中プログラムは進みました。

西:今日はこれで音楽療法終わりですが実は年内最後の音楽療法でもあったんですね。
Aさん:えーそうだったの!?
西:一年間ありがとうございました。(拍手)私も毎回楽しかったです。
Tさん:先生、来年また来てねー。
西:はい、また1月お正月明けにお会いしましょう(*^-^*)


二階では大太鼓を使って一人ずつ叩いたり、ペアを組んで叩いてもらったり合奏をしました。力強い太鼓の音が出ると「わー!すごい!」と拍手が出たり、合奏のタイミングを合わせてピッタリ揃うと「揃ったね」「楽しかった!」「私、嬉しいの」など感想も聞かれました。全体の気分発散もうまくできて高揚感と満足感が感じられました。

西:今日はこれで音楽療法終わりです。と同時に今年最後の音楽療法でした。みなさん今年一年もありがとうございました。(拍手)
Eさん:寂しいねー。
Dさん:あ、終わりなのー。
Yさん:どうしよう、涙が出ちゃう・・・( ;∀;)
西:いやいや、泣いてるし・・最後のお別れじゃないので(笑)また年明けたら来ますよ。1月に元気に会いましょう。では、さよーならー!
全員:手を振ってくれる(^^)/


毎回楽しさの中にも西には失敗もいくつかありましたが、それでもこうやって気持ちよくご挨拶ができて一年を締めくくれたのは良かったと思います。まだ他の現場は活動が残っているので気を緩めずに同じように締めくくりができるよう頑張っていきます。

今日はここまで。

・・・雨が冷たい(;一_一)







2021年12月2日木曜日

やり場のない気持ちを抱えている時こそ音楽療法。

 音楽療法士の西です。

認知症型デイサービスでの音楽療法が再開しました🎵西も久しぶりだったので少し緊張しましたが、介護職員も「おかえりー」と笑って迎えてくれました。

ここでは集団音楽療法から今年に入って個別音楽療法へ切り替えて実施しています。一つにコロナの感染対策がありますが、もう一つ個別で関わる大きな理由があります。それは一人一人の音楽での楽しみ方と気分の発散の仕方が全く異なる為、柔軟に個別に合わせて関わりをしていく為です。

現在、ある方とはボール活動中心で気分の発散を図ったり、ある方とはピアノと歌のみのセッションで、またある方とは太鼓活動で軽快なリズム活動をしています。認知症のレベルや服薬状況、朝のテンションと精神状態も毎週違う方もいます。その背景には、それぞれのご家庭での過ごし方や家族との関係性、介護・医療での方針も様々なご利用者が集まっているデイサービスだからです。

ご利用者はご家庭で感じている喜びや不安、緊張など様々な気分や行き場のない気持ちを抱えてデイサービスに来られます。その抱えている気持ちを音楽療法でどう共有し、必要に応じて発散したり意識を良い方へ向くのか、という心理面のケアの必要性を感じていました。そうすると、集団音楽療法での同じ楽器活動中に全く反応の異なる方が同じ方向性でその場を共有していくのは、厳しいと感じたのです。

個別音楽療法に変えてからセッション中、家での様子を細かく話してくれるようになったり、集団の時には聞かれなかった自分の本当の歌の好みや好きなテンポ感、興味関心の高い一曲の発見など、個別の関わりならでは良さが見られるようになりました。

この関わりが、またデイサービスへの利用継続に繋がるなら、これも音楽療法の大事な役割の一つだといえます。

デイサービスでの集団活動もコロナの状況に合わせて展開していけたらよいとは思うのですが、しばらくはこのまま、深い視点を持ちながら続けたいと思います。

今日はここまで。


読んで頂きありがとうございました。

  音楽療法士の西です。 シャロームの外では梅の花が満開に咲いています。 春の訪れに少しワクワクしてくるのは私だけでしょうか(´▽`*) さて、これまで50回のブログを投稿してきましたが、このブログは閉鎖することになりました。読み続けてくださった方がいましたら、本当にうれしい限り...