2021年12月16日木曜日

回想法っていいな。

音楽療法士の西です。

さて、今日は回想法的音楽療法のお話です。

回想法とは・・・話し手が過去の思いでを想いだして語り、話の聞き手との交流を通じて人生を振り返る。その支援をすることで話し手の心の安定や周囲の様々な人との質の高い交流を目指す援助の方法である。(大西・鈴木 2020)

とあります。コロナ禍に入ってからですが、音楽療法の中で歌唱から昔の思い出や体験を話してもらう時間を作るようにしています。感染症対策で歌唱が多くならないように配慮する為でもあるのですが、外部刺激の少ない単調になりやすい生活の中でそれなりに話題にしやすい内容が個人個人の過去の出来事や記憶です。過去の記憶を思い出そうとして懐かしみ、また話を聞いてもらうことで自分の存在価値の証明と共有ができる活動なのでアクティビティにとどまらず、心理ケアに適しています。

じつは音楽療法で懐かしい歌を歌うことも、広ーい範囲で回想法の要素を持っています。【音楽回想法】という分野もあるほど、歌う事というのは物や映像と同じように過去の記憶につなげやすいのですね。


そして西の音楽療法でも過去について話題にする為に「歌」を使います。先日の実際の音楽療法での様子です。

西:今日は『たきび』を歌いましょう♪

~♬♬♬みんなで歌唱中♬♬♬

西:たき火でした。歌って頂いてありがとうございます。ここで皆さんに聞きたいのですが昔、たき火とかしたことあります?

(数人手を挙げる)

西:Rさん、手挙げてくれてますね。

Rさん:たき火でしょ、やったことあるわよ。

西:そうなんですねー。落葉とか集めて?

Rさん:そう、家の庭で。

西:あー自分の庭でたき火したんですね。ありがとうございます。他には・・Tさんも手挙げてましたね?

Tさん:うん、普通にね。焼き芋とか作ったよね。

Uさん:焼き芋いいね。

西:わー外で食べる焼き芋美味しそう~。食べたくなっちゃいます(´▽`*)私も、子どもの頃にどんど焼きという、お正月の飾りとか焼く集まりが町内会であって、それもたきびの一つですかね?

Rさん:あーどんど焼きね。

西:そう、団子とか焼いて食べた記憶があります。昔は大きい広場とかでたき火普通にあったんですよね。

Tさん:今ってたき火できないんでしょ?

西:そうなんです、よく知ってますね。勝手に火焚いちゃうと消防車来ちゃうんですよね。申請しないとね、ダメみたいです。そこは昔とは変わりましたね。

Iさん:えーそうなの?知らなかった。

西:それだけ、都心周辺は家が密集して建っているんですよね。自分の庭でたき火できるお家は農家さんとか地方に行かないと今は難しいかもしれないですね。

Iさん:へー。


このように昔の体験したことを個別に聞き、当時の事を話してもらい懐かしさや良かった事を皆で共有します。ここでは焼き芋ネタで数名にほっこり笑顔見られました。

次に今のたき火は申請が必要というように、昔と現在とで変わった事があれば、それもなるべく話題に入れるようにしています。時代は変わっている中で【生きている今】を少しでも実感してもらう為です。他にもこれまで、冬の時期であれば囲炉裏やしもやけ、あかぎれ、雪、編み物等、歌詞の中から話題を出して回想法的な関わりをしています。

また先に歌うことで声を出す準備もできます。どの現場でも答えがスムーズに返ってきて話を進めやすいのも良い点だと思います。

改めて歌の世界観と昔当時を思い出してリンクできると、ご利用者はほっこりした気持ちになりやすいのを西も現場で感じています。より専門的な回想法なら、その効果はもっと広く深く見いだせるのでしょう。回想法って良いです❗これからも西なりの回想法的音楽療法プログラムを続けていきます。

今日はここまで。


参考文献:認知症高齢者における回想法の効果に関する文献研究(筑波大学看護学部 大西・鈴木 2020)















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