2022年2月15日火曜日

音楽療法に誘うタイミングとは。

 音楽療法士の西です。

2月14日はバレンタインでした。西は全くそういうの疎いので手ぶらでシャロームへ行きましたら、女性職員数名からチョコやお菓子を頂きました。西はいつもお菓子を頂いてばかりで・・・有難いやら申し訳ないやら(´▽`*)と言いつつも、貰ったら速攻で食べております(笑)シャロームには感謝チョコを毎年配ってくれる素敵女子職員がたくいさんいるのです( ̄▽ ̄)


さて、おやつに関連して今日は個別音楽療法にお誘いするタイミングについてのお話し。シャロームでは現在、個別で音楽療法を実施しています。ご利用者によって入浴時間や訪問の往診、口腔ケア等あるため、時間が被らないよう調整しながら実施をしています。逆にいえば空いている時間を見て音楽療法士で個別音楽療法のタイミングを決めることができます。

認知棟のRさんは、なかなか食事摂取が進まない一人です。認知症が進むと意欲や体力の低下に連鎖して食事を食べなくなるケースが見られます。Rさんも進めても自分から食事やオヤツにすぐに手をつけようとせず下を向いたままが多い。介助もしますが、それでも摂取が進まず低栄養気味です。とある日もおやつは半分は食べていましたが、水分がほとんど残ったままでした。Rさんはおやつを食べる、飲むことの集中と意欲が低下している状態でもありました。水分摂取が少ないと脱水を引き起こす可能性があるため、拒否無く少しでも飲んでもらう必要があります。

こういう時、西はおやつを食べ終わるのを待つのではなく、途中でも音楽療法へお誘いしています。

西:「Rさん、おやつ残ってるけど食べないんですか?」
Rさん:「いらないよ。あなた食べたら?」
西:「このオヤツねー実は私さっき食べたんですよー2個も。だからお腹いっぱいなんです。美味しかったですよー。」
Rさん:「あら、そうなのー」

・・・まあ、ちょっとした嘘(おやつが美味しいのはホント)も時には必要( ̄▽ ̄)高齢者の現場ではオヤツや食事の時間になると自分はいらないからと、他の人にあげようとする場面よくあります。西はそういう時は既に食べましたと伝え回避しています。

西:「じゃ、そしたらRさん。おやつは後にして音楽いきませんか?気分転換になりますよ」
Rさん:「そーだねー音楽か・・行きます。」
西:「よしきた。」
と、お誘いして15分ほどの音楽療法をします。Rさんはもともと音楽が好きで、歌に合わせて手拍子したり童謡や唱歌を綺麗な音程で歌ってくれます。和太鼓もバチを持って上手に叩く事ができるんです。自席で下を向いている時よりも、音楽療法では目を大きくして表情明るい様子が見られます。この日も雪やたき火を歌いました。Rさんは「楽しいです」と感想を言ってくれました。

終了後、自席に戻ると・・・

西:「Rさんお疲れ様でした。歌ったから喉乾いたでしょうー。ここに、ちょうど飲み物ありますよ。良かったら飲んでください。私も喉乾いちゃったから今から飲みに行きますね」
Rさん:「はーい。わー、いただきまーす(´▽`*)」
と、そのあとしばらくRさんはコップを手に持っていました。

夕方、記録をしている時にその日のフロア担当の職員が話してくれました。
職員:「Rさん、あの後おやつ全部食べてましたよ。水分も自分で飲んでた」
西:「そっかーおやつはね、まあ食べてたんだけど水分全然飲んでなかったからさ。良かったね」

音楽療法は生活上の課題に合わせて音楽活動を提供します。
Rさんのケースでは水分摂取が低下しないよう、自分で飲んでもらう動機付けに歌唱活動をしました。歌唱は嚥下機能を高めるだけでなく伴奏やテンポに合わせる為、集中力が引き出されます。自発的に手拍子をするRさんからは意欲も一時的に向上しました。その結果、Rさんは音楽療法で高まった集中と意欲と、また喉も乾く生理的要因も含めて自分でおやつの水分を飲んでくれました。

こういった食事や水分摂取を促すケースは過去も含め西の音楽療法事例としては多いです。音楽療法に参加するとご利用者の気分も良くなっていることも多い。だから「食べましょう」の声かけにスムーズに口が開いたり手を動かしてくれる確率が高いのですよ。外部から来る音楽療法士だったら好きに誘うタイミングは作れませんが、シャロームではご利用者の日常生活場面で良い動機付けになるタイミングで実施しているのです。

自分がおばあちゃんになったら食事への意欲や興味もいずれは無くなるのでしょうか・・・。おやつなら速攻で手が出る現状からすると、いずれは他の人のおやつ食べちゃったりして(笑)

今日はここまで。






2022年2月13日日曜日

毎日誰かがブログを読んでくれるって何だか嬉しい。

 音楽療法士の西です。

このブログを立ち上げて今日で9か月経ちました。早っ。もうそんなになる?(゜_゜)

ブログ書きたいですと法人に相談し準備を初めて、非公開投稿初回が昨年の5月14日だったんですね。好きなことは以外は三日坊主になりやすい西としてはここまで継続できたので、何だか嬉しい( ̄▽ ̄)
しかも、途中から法人HPの中にリンクで貼らせてもらって、更に素敵なイラストまで入れてもらったんですよ!目に留まりやすいし、文字だけより雰囲気も良くなって嬉しい( ̄▽ ̄)
あ、イラストよく見てみてくださいね。可愛くホッコリするイラストは西の持つ癒しのイメージにピッタリですから!
武士に二言・・・・いや、西に二言は無し(。-∀-)

更新回数は多くはないけれど、緩ーく書き続けているので緩ーくフォロワー数が増えています。今では毎日のようにアクセスがある状況も何だか嬉しい♬
同じフォロワーさんが更新毎に読んでくれているのかもしれないし、アクセスの中には新しく西のブログに出会ってくれている方がいるのかもしれません。

先日、とある音楽療法現場の職員からも「西先生、もしかしてブログ書いてる?シャロームのHP見たら、西って書いてあったから、もしかしてそうかな~って。」と声をかけてくれました。あと、法人の事務所内でもたまに西のブログを宣伝してくれている方もいます。法人内部でも緩ーくブログの存在が認知されてきているようです。
西一人の力では決してなく協力してくれる職員ありきで西は自由に書けています。

これからも緩ーく音楽療法の現場のことや、音楽療法士の実態をブログを通して伝えていきたいなあと思って今日も書いてます。西は人前で喋るのは苦手だけど書くのは結構好きです。まあ、文章力や構成力はイマイチなんだろうけど(笑)

それでもありのままの西で正直に伝えるリアルな現場と個人的に思う本音を書いていきたいと思うのです。高齢者の現場というのは面白いネタも真剣に考えさせられる出来事も多いし、だからこそ伝えたい事も本当に多い。伝えるって難しい。でも、ブログの内容に共感してくれる人が少しでも増えたなら、やっぱり嬉しい。

西のブログに出会って下さった皆さま、引き続きお付き合いください(*^▽^*)

今日はここまで。

2022年2月11日金曜日

今だって必要だと思う音楽療法

 音楽療法士の西です。

前回の続き。

音楽療法は現代に必要なセラピーの一つです。その理由についてお話しましょう。

音楽というのは実に不思議で【孤立させないチカラ】と【そっと一人にしておいてくれるチカラ】の両方を持っています。二つの内容って何だか真逆なようにも思えますが(笑)

【孤立させない力】
ある現場で毎日徘徊されているLさんはそこまで音楽が好きという印象はないのですが音楽療法をしていると、たまにふらーっと近づいてくる一人です。近づいて流れる音楽に鼻歌で合わせてくれます。一曲か二曲ぐらい聴いたら、穏やかな表情でまた歩いていくんです。時に音楽療法士や参加されているご利用者に話しかけてもくれます。
以前の西はフラっと来たら「どうぞ」と近くの椅子に案内して飛び入り参加を促していました。徘徊する理由はご利用者それぞれにあるものですがLさんにはお仕事中で部下の面倒を見る中堅どころの時期を現在と認識して動いている日もあるので、リラックスしてもらう為に参加を促していました。
でも今はLさんに特に声をかけていません。声掛けしなくても音楽療法士やご利用者に笑いかけながら鼻歌を歌っているからです。言葉なくても自然と❝一緒に歌うよ❞そんなリラックスした流れが生まれていることにある時、気付きました。
Lさんは徘徊している時はだいたい一人で独語も多い。誰もいない所で誰かに喋りかけていて一人の世界にいる時間の方が多いけれど、音楽療法の時にはちゃんと目を合わせて現実世界に人がいることを分かっている。日によっては会社の人と思って接しているかもしれませんが音楽療法は自然とLさんの社交性が出しやすく、そのキッカケもまた音楽が流れているから生まれやすい。音楽療法活動がなければ一人素通りしているでしょう。社会性が発揮できる場は孤立させない場になることをLさんのケースから改めて気づかされました。

【そっと一人にしておいてくれるチカラ】
とある現場のNさんはこちらの言っていることに頷いたりするものの、言葉でのコミュニケーションが非常に難しい方の一人です。
それでも個別音楽療法にて音楽療法士で数回声かけして情報を得ようとするのですが、ツーンとソッポを向かれてしまうことが続きました。視線も合わせようとしない為、嫌われているんかな~(-_-)と落ちこんでしまうこともありました。
そこで、ただキーボードを弾くことにしたんですね。そしたらソッポ向いたまま頭を小さく動かし始めたんです。
西:(あれ?音楽には反応してるー(・o・))
そこから、声かけよりテンポ感の良い曲を演奏するようにしました。そしたら拳を動かしたり、足のつま先を動かしてリズム取ってるんですよ。で、時々チラチラっと音楽療法士見る、みたいな(笑)
Sさんはあまり声かけされるのは好きではないのでしょう。Sさんにとっては西の声掛けは正直もうほっといて~な心情かもしれません。それでも本当にずっとほっといたら社会性はどんどん失われていく。少しでも維持するために始めた音楽療法ですが、音楽療法士の演奏に合わせてリズム反応で応えてくれる。あまり言葉では関わらんといてーなタイプの人には、この❝あなたじゃなくて音楽に少し興味あるのよ❞みたいな距離感が良かったりすることが分かってきました。だからSさんには声かは最小限にして演奏メインで関わっています。これも立派な共同時間とみなしているし、絶妙な距離感が創れる音楽ってやっぱり凄いです。

これらケースを経験して思うことがあります。福祉サービスはもともと社会から孤立しないためのサービスではあるのですが、実際に現場にいて思うのはフロアの中の小さい社会の中でも孤立化は生まれやすいのです。それだけ、福祉の現場はマンパワーが足りていない。
ただ、それって介護や医療従事者だけが増えればいいのかというとそれだけでないと思っています。孤立しやすい状況に
焦点に向けて関わる人材も必要なのではと思うです。だから西は音楽療法を続けているのかも。

もっと語りたいのですが・・今日はここまで。










2022年2月9日水曜日

改めてコロナ禍にいることを実感中。

音楽療法士の西です。

第6波の渦中にて西の身近でもコロナウイルスに罹患された方がいたり、感染対策の強化がなされたりと多大な影響を感じている毎日です。

経済を回すことも大切ではあるけれど人と密に接する必要のある職種の人やエッセンシャルワーカーにとっては、この感染拡大状況下で仕事を続けるには悩ましいのが現状だと思います。テレビ界での連日の芸能人の感染と罹患したことへの謝罪が必須となっている報道に、影響を受けやすくなっているような・・・別に芸能界が基準ではないけれど、報道と芸能はセットみたいなものだから関連づけての情報公開に、煽られやすい人も多いかもしれません。
西も情報がアップデートされるたびに都度冷静な判断を心掛けようとするも、やっぱり影響を受けやすく、そのうえでどう仕事を続けていくか悩んでしまう。

これだけ増えていると、ちょっとした接触でもご利用者に感染させてしまうかも?

無症状のままで感染を広げていたら??

ワクチン打ったから音楽療法続けても大丈夫・・・????
                    ・・・揺れに揺れている毎日です。

コロナウイルスの脅威はなんてったって、アルファ株の対応がデルタ株で通用せず、そしてオミクロン株の特徴も違うもんだから、また適切な対応や判断が難しくなっていることです。
人は常に困難な壁にあたれば、過去の体験や記憶から学んだことを活かして乗り切っていく賢い生き物ですが、ウイルスとの頭脳戦にここまでてこずるとは思いもよりませんでした。今、社会を大きく動かすのは人ではなく、ウイルスだと思います。ある意味、ウイルスの力は凄まじい。

でも、それでもブレずに、頑固に抱く想いもあります。

音楽療法は人の心に心地よい刺激と程良い緊張感をもたらしてくれます。
音楽療法士とご利用者が音を共有することで一体感が生まれます。孤独感を和らげ安心感に包まれる。コロナ前からそんな一瞬を幾度と体験してきましたし、それはそれは現代に必要なセラピーの一つです。社会が不安定な時こそ、音楽療法は必要とされる分野であると思っているのです。揺れに揺れている中でも、毎回の音楽療法活動でご利用者も音楽療法士も癒しを得ているのもまた事実です。

次回はコロナの脅威を感じつつも音楽療法中に感じていること、お話ししたいと思います。


今日はここまで。








2022年2月8日火曜日

今だからこそ、セルフケアを!

 音楽療法士の西です。

今のコロナ禍第6波真っただ中において、もやもやされている方もいるでしょうか。
今日はセルフケアと音楽についてのお話し。セルフケアされていますか?
西は音楽療法士なのでもちろん音楽です!と言いたいところですが、最近の西は昨年資格を取った【】でセルフケアをしています。こちらは沢山の色のカードを使用しながら深層心理を探っていくというもの。耳での心地よさを感じる音楽療法に対して、視覚でもってそれぞれの色の持つ心理作用を受けることで癒しが感じられ易いです。

何が癒しになるのかは人それぞれ。世界の中でも多忙な日本人、そしてこのコロナ禍においてはストレスをいかに少なくする術をもち、より豊かなライフスタイルを創っていくうえでセルフケアは重要なテーマだと思います。

今やYouTubeを開けば『ヒーリングミュージック曲集』や『自律神経を穏やかにする音楽』『眠れない時に聴く音楽』など、いくつかのリラクゼーションミュージックがアップされています。フォロワー数がとても多いので、音楽へ癒しを求めている方が本当に多いです。

         では、改めて音楽がストレスに良い理由って何でしょう?

音楽が人の心身にどう影響しやすいのか科学的研究もされているので、ほんの少しご紹介しましょう。

音楽生理学:自分にとって心地よい音楽を聴くと自律神経系に作用し呼吸が楽になる、血圧が安定しやすいという研究結果が出ています。ストレスを感じやすい人は交感神経が優位になりやすく自律神経の変動がより大きいんです。繰り返していると心疾患のリスクが高まるので要注意。あーストレス感じる~(;一_一)と思ったら心地良い音楽を聴いてみたり、ストレスを感じやすい時間帯があれば(朝のバタバタする時など)音楽を聴く習慣をつけると良いですよ。
西は朝の通勤の車の中で音楽聴いてます♬

音楽心理学:心地よいと感じる音楽を聴くことでカタルシス(浄化作用)効果がもたらされるため、カウンセリング時や非薬物療法の治療の一つとして音楽は使用されています。音楽を聴いて涙がでたり、気持ちが高ぶる経験ありませんか?浄化作用が働くと自然と気分が冷静になったり、高揚感が得られます。それまでの抱えていた不安や悲しみが一時的に収まり易くなるんです。
西は時々訪れる眠れない時には久石譲の音楽を聴きます。高揚感に包まれた後、深呼吸も増えて眠りについてます。

他にも脳科学や免疫学など音楽が人へもたらす影響についても研究は今も進んでいますが、このネタはまたいつか。

さて、ここでのポイントは【自分の好きな音楽を聴く】ことです。自分が心地よく感じられれば何でもいいのです。と言ってしまうとテキトーな感じもしてしまいますがテンポは速いのかゆっくりが良いのか、単音なのかオーケストラのようなハーモニーが良いのか、自分にとって何が心地良い音楽と感じるのか、それは本当に一人一人違うのが実際のところです。

本当に心地良い音楽、音楽が作用しているというのは、体が普通とは違う反応を示します。西も経験があるのですが腕全体に鳥肌が立ったり、横隔膜がフ―っと動いて深呼吸したり、口が勝手にゆるんだり拍手していたり(これホント)、と身体反応がまず先に現れます。その後に充実感というか満たされている気持ちが体中に広がっていくんですね。
そんな体験したことないよ、という方は本当の出会いがまだこれから先にあるのかも!本当に自分が心地よいと感じる音楽探しをセルフケアで見つけてみませんか?

ぜひ、セルフケアに音楽を!( ̄▽ ̄)

ぜひコロナ疲れに音楽を!( ̄▽ ̄)

選挙みたい(笑)今日はここまで。


参考文献:バイオミュージックの不思議な力~音楽でストレス解消~ 貫 行子


2022年2月6日日曜日

音楽療法でのちょっとした面白い話し。

 音楽療法士の西です。

日中も寒い日がまだ続いていますね。西は寒いのが苦手なので、常に靴下は二重に履いています。そんな寒い時に少しほっこりする、現場でのお話しです。

特養では認知症で耳の遠い方もいて、音楽療法やそれ以外でも難聴の方と関わっています。そこで実際にあったやりとりです。

西:Oさん、歌集です。どうぞ。今日は【たきび】をやりましょうか。
Oさん:ああーたきびか。昔、やったよ。
    ・・・・かきのたね、かきのたねの・・まがりかど、、
西:(垣根ね・・それおつまみにいいやつ(。-∀-) )
Oさん:たびきだ・・たき・・びだ・・おち・・ばたきー
西:(たきびね。しかも区切る所が独特~(。-∀-) )

とてもユニークな読み方をされるOさんですが、100歳超えていらっしゃいます。今だに簡単な漢字も含めてしっかり目で追って歌詞を読んでいます。集中力も発揮されて本当にすごいです。ただ、認知もあるのでこういうお茶目な間違いは多いのですが(笑)西は心の中でツッコミを入れるのが定番となりました。


また、とある日。音楽療法ではない場面にて。

西:「Bさんお部屋到着しました・・・って寒っ(;・∀・)何もついてないよ。
   Bさん暖房入れましょう」

Bさん:「え?ばんどう??」
西:「いや、だんぼう入れますねって」
Bさん:「ああ・・・だんぼ。はいはい」
西:(一応伝わったのか?でもそのイントネーションはディズニーのやつ(笑))

・・ばんどうって。Bさんはいたって真面目に受け答えしてくれているに違いないのですが。会話の中での聞き間違いや受取り違いは高齢者現場あるあるだと思います。介護職員や相談員とご利用者との会話を目にすると、聞き間違いが楽しい笑いに包まれる時もあれば、時には会話がスムーズにいかない事に、もどかしさを感じて雰囲気がピリッとすることも。加齢に伴う難聴と認知症との兼ね合いの中で生活されているご利用者とのコミュニケーションは、援助者の受取次第で良くも悪くもなっていくもの。だから西はなるべく、ユニークと捉えながら関わるよう意識しています。そのほうが楽しいことの方が多いので。


ちなみに音楽療法でも難聴の方あるあるのほっこりエピソードがあります。

介護職員:「Iさん、先生(西の事)が2月に入りましたねって」
Iさん:「え?何?聞こえない・・(~_~;)」
介護職員:「だめだ、補聴器入れても聞えてないわ」
Iさんは補聴器を入れている方ですが、耳元で声かけしても高い確率で「聞こえない」と手を横に振ってなかなか言葉でのコミュニケーションが続かない一人です。

でも音楽療法が始まると・・・
Iさん:「ゆーきや、こんこ・・・」
西:(お、歌詞なくても周りに合わせて歌ってる)
西:「Iさん、歌ってみてどうでしたか?」

Iさん:「懐かしいです」
介護職員「そこは聞こえてるんだ(笑)」

西もこのやりとり、他のいくつかの現場で経験しています。精神状態によっても聞こえ方は変わるのかもしれないね、と現場の介護職員と話すこともあります。難聴と認知症とが複雑に絡んでいる中でも、楽しい音楽の時には難聴の方も集中力が高まって声掛けを受け取りやすく会話が続きやすい、のかもしれませんね。

どのエピソードもご利用者のユニークな一面です。これからも、現場での話しをupしていきます。

今日はここまで。














2022年2月3日木曜日

音楽療法って同じじゃないんだね。

 音楽療法の西です。

とあるグループホームでのお話し。
2フロアそれぞれで音楽療法を実施しています。とある介護職員より声をかけられました。

職員xさん:「一階でやってた音楽療法と二階のはまた違うね。変えてるんだね。」
西:「うん、そうそう。楽器とか使う物も変えてるよ」

そうなんです、フロアごとに音楽療法のプログラムを変えてます。一階で鳴子合奏をしたら二階はベル合奏、一方でボール体操をしたら一方は新聞棒体操や何も使わないスローストレッチなど。といっても歌唱曲は季節ものは同じ曲を使用することは多々あります。

別に全く同じプログラムでもいいっちゃいいんです。演奏レクやコンサートは同プログラムスタイルが多いですし、西が音楽療法士になりたての頃はどの現場でも同じようなプログラムの流れで実施していました。あの頃は一人で集団をまとめていくのに一杯いっぱいでもあったので。それでも、10年以上セッションしていると音楽療法実践の考え方が徐々に変わっていきました。

集団ごとに活動プログラムを変える理由は二つあります。

①感染対策にて接触リスクを減らす為
10年前は楽器の使いまわしは普通にしていました。が、新型インフルエンザが流行るようになり、高齢者重症化のリスクが出てくると流行時期は楽器の共有は極力避けるようにしています。また終了後は必ず楽器の消毒をし2日間は触れないようにしています。現在はコロナ禍なので一人で誘導したり楽器を配る現場では手袋着用で都度交換し、出来る限りの感染症対策をしています。

➁一人一人が目立つよう声掛けすることが結局一番楽しい活動になる
同じ流れのプログラムを続けると、次第にご利用者の集中力の低下や傾眠、自主退室など目立つようになり、どう工夫したら良いのか悩んだ時期がありました。プログラムの順番を変えてみたり、演奏する楽器を増やしてみたりと自助努力もしてきました。でも、音楽療法士ばかりが喋り続けていて、ご利用者がほぼ受け身だけの活動って集中が続かないものなんですね。

そこに気付いてからは、活動中になるべく一人一人に質問したり感想を聞いてみたり、コミュニケーションを取るようにしました。何か言いたそうにしている人や楽器を配って自主的に演奏を始る人など、ちょっとした動きに音楽療法士が察知してやりとりをするよう意識するようになったらどんどん見えてくる、個性が!

あ~この人は歌の時は体も動かすほどノリノリで歌っている
あ~この人は体操が好きだし得意
あ~この人は合奏の時は笑うことが多いな
あ~この人はよく周囲を見て発言してるんだな
あ~この人は楽しいか否の二択の質問にすれば発語が出やすいな

こうやって一人一人の良さ(その反対のマイナーポイントも)が見えてくると、どのタイミングでどのご利用者に声をかけるのかも、少しずつ自然とできるようになりました。
個別理解が進むと集団の特性も見えてくるようになる。この発見は本当に西にとって知的財産です。一人一人の関わるポイントがわかると集団はまとめやすくなり、結果的に集中力が持続しやすい楽しい活動に変わっていきました。

今ではグループホームの音楽療法は毎回、笑いが出る楽しい時間になりました。他の集団音楽療法も同様に傾眠する方や自主退室がだいぶ減りました。
年齢も、体質も、認知症レベルも、入所されるまでの経歴も異なる人が集まっているのだから、必然と雰囲気や空気がフロアによって、時期によって、それこそ週によって違います。その違いに合わせて瞬時にプログラムを構成できれば、飽きのこない活動の提供が可能です。

だから、音楽療法はどの現場も同じじゃないんです。音楽療法は一期一会。そこが良い。

熱く語ったらイチゴ食べたくなってきました・・(笑)
今日はここまで(。-∀-)




読んで頂きありがとうございました。

  音楽療法士の西です。 シャロームの外では梅の花が満開に咲いています。 春の訪れに少しワクワクしてくるのは私だけでしょうか(´▽`*) さて、これまで50回のブログを投稿してきましたが、このブログは閉鎖することになりました。読み続けてくださった方がいましたら、本当にうれしい限り...