2022年2月3日木曜日

音楽療法って同じじゃないんだね。

 音楽療法の西です。

とあるグループホームでのお話し。
2フロアそれぞれで音楽療法を実施しています。とある介護職員より声をかけられました。

職員xさん:「一階でやってた音楽療法と二階のはまた違うね。変えてるんだね。」
西:「うん、そうそう。楽器とか使う物も変えてるよ」

そうなんです、フロアごとに音楽療法のプログラムを変えてます。一階で鳴子合奏をしたら二階はベル合奏、一方でボール体操をしたら一方は新聞棒体操や何も使わないスローストレッチなど。といっても歌唱曲は季節ものは同じ曲を使用することは多々あります。

別に全く同じプログラムでもいいっちゃいいんです。演奏レクやコンサートは同プログラムスタイルが多いですし、西が音楽療法士になりたての頃はどの現場でも同じようなプログラムの流れで実施していました。あの頃は一人で集団をまとめていくのに一杯いっぱいでもあったので。それでも、10年以上セッションしていると音楽療法実践の考え方が徐々に変わっていきました。

集団ごとに活動プログラムを変える理由は二つあります。

①感染対策にて接触リスクを減らす為
10年前は楽器の使いまわしは普通にしていました。が、新型インフルエンザが流行るようになり、高齢者重症化のリスクが出てくると流行時期は楽器の共有は極力避けるようにしています。また終了後は必ず楽器の消毒をし2日間は触れないようにしています。現在はコロナ禍なので一人で誘導したり楽器を配る現場では手袋着用で都度交換し、出来る限りの感染症対策をしています。

➁一人一人が目立つよう声掛けすることが結局一番楽しい活動になる
同じ流れのプログラムを続けると、次第にご利用者の集中力の低下や傾眠、自主退室など目立つようになり、どう工夫したら良いのか悩んだ時期がありました。プログラムの順番を変えてみたり、演奏する楽器を増やしてみたりと自助努力もしてきました。でも、音楽療法士ばかりが喋り続けていて、ご利用者がほぼ受け身だけの活動って集中が続かないものなんですね。

そこに気付いてからは、活動中になるべく一人一人に質問したり感想を聞いてみたり、コミュニケーションを取るようにしました。何か言いたそうにしている人や楽器を配って自主的に演奏を始る人など、ちょっとした動きに音楽療法士が察知してやりとりをするよう意識するようになったらどんどん見えてくる、個性が!

あ~この人は歌の時は体も動かすほどノリノリで歌っている
あ~この人は体操が好きだし得意
あ~この人は合奏の時は笑うことが多いな
あ~この人はよく周囲を見て発言してるんだな
あ~この人は楽しいか否の二択の質問にすれば発語が出やすいな

こうやって一人一人の良さ(その反対のマイナーポイントも)が見えてくると、どのタイミングでどのご利用者に声をかけるのかも、少しずつ自然とできるようになりました。
個別理解が進むと集団の特性も見えてくるようになる。この発見は本当に西にとって知的財産です。一人一人の関わるポイントがわかると集団はまとめやすくなり、結果的に集中力が持続しやすい楽しい活動に変わっていきました。

今ではグループホームの音楽療法は毎回、笑いが出る楽しい時間になりました。他の集団音楽療法も同様に傾眠する方や自主退室がだいぶ減りました。
年齢も、体質も、認知症レベルも、入所されるまでの経歴も異なる人が集まっているのだから、必然と雰囲気や空気がフロアによって、時期によって、それこそ週によって違います。その違いに合わせて瞬時にプログラムを構成できれば、飽きのこない活動の提供が可能です。

だから、音楽療法はどの現場も同じじゃないんです。音楽療法は一期一会。そこが良い。

熱く語ったらイチゴ食べたくなってきました・・(笑)
今日はここまで(。-∀-)




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