2022年3月30日水曜日

読んで頂きありがとうございました。

 音楽療法士の西です。

シャロームの外では梅の花が満開に咲いています。

春の訪れに少しワクワクしてくるのは私だけでしょうか(´▽`*)


さて、これまで50回のブログを投稿してきましたが、このブログは閉鎖することになりました。読み続けてくださった方がいましたら、本当にうれしい限りです。

たかが50回の投稿ですが、それなりに大変でした。
考えていることを言葉にし構成していくことの難しさと文章力の乏しさにつくづく未熟さを感じ、ピアノのようにスラスラ~っと書けるようになりたいなあと願望が増すばかりでした(笑)
その中でも文章を書く時は自分が実施している音楽療法を客観的に見ることができたり、音楽の持つ力だけではなく、ご利用者の生命力の強さやたくましさ、人間味などを再認識できる時間でもありました。

読んでくださる方が、共感や新鮮味を感じてもらえたのなら十分、価値のあるブログになっていると思います。

音楽療法の魅力を発信する西の想いを了承してくださったアドベンチスト法人の職員の皆様にも感謝しています。時には写真を撮ってくれたり、ブログの存在を内外に宣伝もして頂きました。緩~くフォロワー数が伸びていくきっかけをつくってくれました。

こちらのブログは閉じますが、今後は以下へ移動となります。4月より開設しますのでご興味ある方は、ぜひ覗いてみてくださいね♪


                          https://coubic.com/colornestyle/blogs


ブログという形で音楽療法の実態をオープンに伝えていく経験を良き糧として、これからも福祉の現場でケアをする一人として精進して参ります。

          ありがとうございました(^-^)

                       音楽療法士 西




2022年3月1日火曜日

施設の中でも春を感じられます。

 音楽療法士の西です。

三月に入りました。ここ数日間で日中の暖かさから春を体感できるようになりました。その分、花粉症の方はお辛いのでしょうね(;´Д`)

高齢者施設での生活において、季節を感じることは認知症の程度によって非常に難しいです。西は会話の中でなるべく、「三月に入りましたね」「今日は、外とても暖かいんですよ」とお伝えしています。西の話しを聞いて「そうなの~もう三月なの~(*^。^*)」とにこやかに答えてくれる方もいれば、「そんな言われても分からん(゜_゜)」という反応の方もいます。その方の感性が乏しいのではありません。私たちが普通に生活をしていて外に出て感じて体感できる機会を、入居されている方達が体感できる機会に乏しいのです。

そんな時、やっぱり音楽療法です。
歌うことは季節を感じられ見当識がぐっと高められる機会でもあるのですから。

先日、とある現場でのお話です。
Uさんは、日中の半分はお部屋で過ごされている方ですが、月に1、2回は個別音楽療法に参加されています。
西:「今日で2月終わりますよ。でもまだ寒くて」
Uさん:「そうなの?早いね。・・ここにいると外に出ないから、よく分からないのよね」
西:「そうですよね、わかりにくいですよね」

たいてい、このような会話から始まるのがお決まりのパターン。「外に出ないから」と話す時は、少し寂しそうな表情もたまに見られます。

西:「じゃあ、今日の歌なんですけど、明日から3月じゃないですか。3月に入ったらすぐイベントありますよね?何まつりでしたっけ?」
Uさん:「・・・・ひなまつり」
西:「お、正解!ひなまつりの歌ありますよね。歌ってみましょうか」
とピアノで伴奏を弾くとUさんは小さーい声で歌ってくれました。
西:「実はここの近くで梅が咲いているんですよ。なので次に湯島の白梅はどうでしょう」
Uさん:「いいね、知ってる」

と、湯島の白梅、北国の春、春よ来い、を選曲して一緒に歌いました。

西:「いやー今日も歌いましたね。なんか、春がぐっと近づいてくるような」
Uさん:「そうだね。春らしいね(^-^)」
と、終わりには微笑んでくれました。

音楽療法士で先導して春を意識する声かけをしているだけじゃないか、と言われればそうですが(笑)Uさんは開始早々には音楽療法士の季節感への共感は難しいのですが、一緒に歌うことでまず、協調性、社会性が高まります。次に春の定番の歌を選曲し続けて歌ったり演奏すると、歌詞やメロディーから伝わる季節感が春の意識を高めてくれます。

これらが最終的にはUさんの口からも「春らしいね」という音楽療法士に共感しながら季節感をそれなりに感じている言葉が出る結果となりました。

音楽療法では見当識の乏しい方に、上記のような方法で季節感を感じてもらう工夫をしています。春だけでなく夏、秋、冬と日本には四季折々に合わせて作られた定番の歌が沢山あります。施設の中にいても季節を感じられる方法に音楽は有効だな、と長年のセッションで感じています。
勿論、食事のメニューだったり写真だったり、着てもらう洋服で季節感を感じてもらうなどの他職種同士で工夫もしています。ただコロナ禍でもあるため、制限があるのも現状です。

長年の経験より、音楽からもたらされるイメージや印象は人に影響を与えます。もう少ししたら、今度は「卒業シーズンですね」と卒業にまつわる歌を選曲してみようと思います。

今日はここまで。












2022年2月15日火曜日

音楽療法に誘うタイミングとは。

 音楽療法士の西です。

2月14日はバレンタインでした。西は全くそういうの疎いので手ぶらでシャロームへ行きましたら、女性職員数名からチョコやお菓子を頂きました。西はいつもお菓子を頂いてばかりで・・・有難いやら申し訳ないやら(´▽`*)と言いつつも、貰ったら速攻で食べております(笑)シャロームには感謝チョコを毎年配ってくれる素敵女子職員がたくいさんいるのです( ̄▽ ̄)


さて、おやつに関連して今日は個別音楽療法にお誘いするタイミングについてのお話し。シャロームでは現在、個別で音楽療法を実施しています。ご利用者によって入浴時間や訪問の往診、口腔ケア等あるため、時間が被らないよう調整しながら実施をしています。逆にいえば空いている時間を見て音楽療法士で個別音楽療法のタイミングを決めることができます。

認知棟のRさんは、なかなか食事摂取が進まない一人です。認知症が進むと意欲や体力の低下に連鎖して食事を食べなくなるケースが見られます。Rさんも進めても自分から食事やオヤツにすぐに手をつけようとせず下を向いたままが多い。介助もしますが、それでも摂取が進まず低栄養気味です。とある日もおやつは半分は食べていましたが、水分がほとんど残ったままでした。Rさんはおやつを食べる、飲むことの集中と意欲が低下している状態でもありました。水分摂取が少ないと脱水を引き起こす可能性があるため、拒否無く少しでも飲んでもらう必要があります。

こういう時、西はおやつを食べ終わるのを待つのではなく、途中でも音楽療法へお誘いしています。

西:「Rさん、おやつ残ってるけど食べないんですか?」
Rさん:「いらないよ。あなた食べたら?」
西:「このオヤツねー実は私さっき食べたんですよー2個も。だからお腹いっぱいなんです。美味しかったですよー。」
Rさん:「あら、そうなのー」

・・・まあ、ちょっとした嘘(おやつが美味しいのはホント)も時には必要( ̄▽ ̄)高齢者の現場ではオヤツや食事の時間になると自分はいらないからと、他の人にあげようとする場面よくあります。西はそういう時は既に食べましたと伝え回避しています。

西:「じゃ、そしたらRさん。おやつは後にして音楽いきませんか?気分転換になりますよ」
Rさん:「そーだねー音楽か・・行きます。」
西:「よしきた。」
と、お誘いして15分ほどの音楽療法をします。Rさんはもともと音楽が好きで、歌に合わせて手拍子したり童謡や唱歌を綺麗な音程で歌ってくれます。和太鼓もバチを持って上手に叩く事ができるんです。自席で下を向いている時よりも、音楽療法では目を大きくして表情明るい様子が見られます。この日も雪やたき火を歌いました。Rさんは「楽しいです」と感想を言ってくれました。

終了後、自席に戻ると・・・

西:「Rさんお疲れ様でした。歌ったから喉乾いたでしょうー。ここに、ちょうど飲み物ありますよ。良かったら飲んでください。私も喉乾いちゃったから今から飲みに行きますね」
Rさん:「はーい。わー、いただきまーす(´▽`*)」
と、そのあとしばらくRさんはコップを手に持っていました。

夕方、記録をしている時にその日のフロア担当の職員が話してくれました。
職員:「Rさん、あの後おやつ全部食べてましたよ。水分も自分で飲んでた」
西:「そっかーおやつはね、まあ食べてたんだけど水分全然飲んでなかったからさ。良かったね」

音楽療法は生活上の課題に合わせて音楽活動を提供します。
Rさんのケースでは水分摂取が低下しないよう、自分で飲んでもらう動機付けに歌唱活動をしました。歌唱は嚥下機能を高めるだけでなく伴奏やテンポに合わせる為、集中力が引き出されます。自発的に手拍子をするRさんからは意欲も一時的に向上しました。その結果、Rさんは音楽療法で高まった集中と意欲と、また喉も乾く生理的要因も含めて自分でおやつの水分を飲んでくれました。

こういった食事や水分摂取を促すケースは過去も含め西の音楽療法事例としては多いです。音楽療法に参加するとご利用者の気分も良くなっていることも多い。だから「食べましょう」の声かけにスムーズに口が開いたり手を動かしてくれる確率が高いのですよ。外部から来る音楽療法士だったら好きに誘うタイミングは作れませんが、シャロームではご利用者の日常生活場面で良い動機付けになるタイミングで実施しているのです。

自分がおばあちゃんになったら食事への意欲や興味もいずれは無くなるのでしょうか・・・。おやつなら速攻で手が出る現状からすると、いずれは他の人のおやつ食べちゃったりして(笑)

今日はここまで。






読んで頂きありがとうございました。

  音楽療法士の西です。 シャロームの外では梅の花が満開に咲いています。 春の訪れに少しワクワクしてくるのは私だけでしょうか(´▽`*) さて、これまで50回のブログを投稿してきましたが、このブログは閉鎖することになりました。読み続けてくださった方がいましたら、本当にうれしい限り...