2022年3月1日火曜日

施設の中でも春を感じられます。

 音楽療法士の西です。

三月に入りました。ここ数日間で日中の暖かさから春を体感できるようになりました。その分、花粉症の方はお辛いのでしょうね(;´Д`)

高齢者施設での生活において、季節を感じることは認知症の程度によって非常に難しいです。西は会話の中でなるべく、「三月に入りましたね」「今日は、外とても暖かいんですよ」とお伝えしています。西の話しを聞いて「そうなの~もう三月なの~(*^。^*)」とにこやかに答えてくれる方もいれば、「そんな言われても分からん(゜_゜)」という反応の方もいます。その方の感性が乏しいのではありません。私たちが普通に生活をしていて外に出て感じて体感できる機会を、入居されている方達が体感できる機会に乏しいのです。

そんな時、やっぱり音楽療法です。
歌うことは季節を感じられ見当識がぐっと高められる機会でもあるのですから。

先日、とある現場でのお話です。
Uさんは、日中の半分はお部屋で過ごされている方ですが、月に1、2回は個別音楽療法に参加されています。
西:「今日で2月終わりますよ。でもまだ寒くて」
Uさん:「そうなの?早いね。・・ここにいると外に出ないから、よく分からないのよね」
西:「そうですよね、わかりにくいですよね」

たいてい、このような会話から始まるのがお決まりのパターン。「外に出ないから」と話す時は、少し寂しそうな表情もたまに見られます。

西:「じゃあ、今日の歌なんですけど、明日から3月じゃないですか。3月に入ったらすぐイベントありますよね?何まつりでしたっけ?」
Uさん:「・・・・ひなまつり」
西:「お、正解!ひなまつりの歌ありますよね。歌ってみましょうか」
とピアノで伴奏を弾くとUさんは小さーい声で歌ってくれました。
西:「実はここの近くで梅が咲いているんですよ。なので次に湯島の白梅はどうでしょう」
Uさん:「いいね、知ってる」

と、湯島の白梅、北国の春、春よ来い、を選曲して一緒に歌いました。

西:「いやー今日も歌いましたね。なんか、春がぐっと近づいてくるような」
Uさん:「そうだね。春らしいね(^-^)」
と、終わりには微笑んでくれました。

音楽療法士で先導して春を意識する声かけをしているだけじゃないか、と言われればそうですが(笑)Uさんは開始早々には音楽療法士の季節感への共感は難しいのですが、一緒に歌うことでまず、協調性、社会性が高まります。次に春の定番の歌を選曲し続けて歌ったり演奏すると、歌詞やメロディーから伝わる季節感が春の意識を高めてくれます。

これらが最終的にはUさんの口からも「春らしいね」という音楽療法士に共感しながら季節感をそれなりに感じている言葉が出る結果となりました。

音楽療法では見当識の乏しい方に、上記のような方法で季節感を感じてもらう工夫をしています。春だけでなく夏、秋、冬と日本には四季折々に合わせて作られた定番の歌が沢山あります。施設の中にいても季節を感じられる方法に音楽は有効だな、と長年のセッションで感じています。
勿論、食事のメニューだったり写真だったり、着てもらう洋服で季節感を感じてもらうなどの他職種同士で工夫もしています。ただコロナ禍でもあるため、制限があるのも現状です。

長年の経験より、音楽からもたらされるイメージや印象は人に影響を与えます。もう少ししたら、今度は「卒業シーズンですね」と卒業にまつわる歌を選曲してみようと思います。

今日はここまで。












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読んで頂きありがとうございました。

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