2022年2月11日金曜日

今だって必要だと思う音楽療法

 音楽療法士の西です。

前回の続き。

音楽療法は現代に必要なセラピーの一つです。その理由についてお話しましょう。

音楽というのは実に不思議で【孤立させないチカラ】と【そっと一人にしておいてくれるチカラ】の両方を持っています。二つの内容って何だか真逆なようにも思えますが(笑)

【孤立させない力】
ある現場で毎日徘徊されているLさんはそこまで音楽が好きという印象はないのですが音楽療法をしていると、たまにふらーっと近づいてくる一人です。近づいて流れる音楽に鼻歌で合わせてくれます。一曲か二曲ぐらい聴いたら、穏やかな表情でまた歩いていくんです。時に音楽療法士や参加されているご利用者に話しかけてもくれます。
以前の西はフラっと来たら「どうぞ」と近くの椅子に案内して飛び入り参加を促していました。徘徊する理由はご利用者それぞれにあるものですがLさんにはお仕事中で部下の面倒を見る中堅どころの時期を現在と認識して動いている日もあるので、リラックスしてもらう為に参加を促していました。
でも今はLさんに特に声をかけていません。声掛けしなくても音楽療法士やご利用者に笑いかけながら鼻歌を歌っているからです。言葉なくても自然と❝一緒に歌うよ❞そんなリラックスした流れが生まれていることにある時、気付きました。
Lさんは徘徊している時はだいたい一人で独語も多い。誰もいない所で誰かに喋りかけていて一人の世界にいる時間の方が多いけれど、音楽療法の時にはちゃんと目を合わせて現実世界に人がいることを分かっている。日によっては会社の人と思って接しているかもしれませんが音楽療法は自然とLさんの社交性が出しやすく、そのキッカケもまた音楽が流れているから生まれやすい。音楽療法活動がなければ一人素通りしているでしょう。社会性が発揮できる場は孤立させない場になることをLさんのケースから改めて気づかされました。

【そっと一人にしておいてくれるチカラ】
とある現場のNさんはこちらの言っていることに頷いたりするものの、言葉でのコミュニケーションが非常に難しい方の一人です。
それでも個別音楽療法にて音楽療法士で数回声かけして情報を得ようとするのですが、ツーンとソッポを向かれてしまうことが続きました。視線も合わせようとしない為、嫌われているんかな~(-_-)と落ちこんでしまうこともありました。
そこで、ただキーボードを弾くことにしたんですね。そしたらソッポ向いたまま頭を小さく動かし始めたんです。
西:(あれ?音楽には反応してるー(・o・))
そこから、声かけよりテンポ感の良い曲を演奏するようにしました。そしたら拳を動かしたり、足のつま先を動かしてリズム取ってるんですよ。で、時々チラチラっと音楽療法士見る、みたいな(笑)
Sさんはあまり声かけされるのは好きではないのでしょう。Sさんにとっては西の声掛けは正直もうほっといて~な心情かもしれません。それでも本当にずっとほっといたら社会性はどんどん失われていく。少しでも維持するために始めた音楽療法ですが、音楽療法士の演奏に合わせてリズム反応で応えてくれる。あまり言葉では関わらんといてーなタイプの人には、この❝あなたじゃなくて音楽に少し興味あるのよ❞みたいな距離感が良かったりすることが分かってきました。だからSさんには声かは最小限にして演奏メインで関わっています。これも立派な共同時間とみなしているし、絶妙な距離感が創れる音楽ってやっぱり凄いです。

これらケースを経験して思うことがあります。福祉サービスはもともと社会から孤立しないためのサービスではあるのですが、実際に現場にいて思うのはフロアの中の小さい社会の中でも孤立化は生まれやすいのです。それだけ、福祉の現場はマンパワーが足りていない。
ただ、それって介護や医療従事者だけが増えればいいのかというとそれだけでないと思っています。孤立しやすい状況に
焦点に向けて関わる人材も必要なのではと思うです。だから西は音楽療法を続けているのかも。

もっと語りたいのですが・・今日はここまで。










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