2021年10月27日水曜日

音楽療法は集いの場になりやすい。

 音楽療法士の西です。

コロナウイルスが発生してから、それまで集団での活動がメインだった音楽療法は感染対策の為、個別音楽療法に切り替えて現在も続けています。

ただ、どうしても良い音楽は(?)人を惹きつけてしまうようです。今日はそんなお話。
特養で個別音楽療法の最中、とある車椅子のご利用者が近づいてきました。「音楽が聞えてきたから私も一緒に参加したくて・・・」とどうやら居室から音楽を聞きつけて自操で来てくれたようです。

このコロナ禍で認知症が進行して自発性の低下が顕著に見られるご利用者も多い中で、自発的に行動を起こして音楽療法へ来てくれるのは非常に嬉しいことです。

ただ、まだコロナの収束が見えず第6波の懸念もある中で、現在も個別対応での実施を基本としているので、まずは事情を説明します。

西:「〇〇さん、来てくれたんですね。嬉しいです。ただ、今もコロナがまだ終わっていないので、一人づつの音楽活動になるんですね。次に必ずお呼びしますので、お部屋で待って頂けますか?次に呼びますので音楽やりましょう」

と言うと、すぐに状況を理解して「分かりました」と答えて戻って待っていてくれる方もいます。自分から来てくれた方には、必ずその次の順番で音楽療法をやるようにしています。せっかくの意欲を無下にはできませんから。

そうやって説明すると次の順番で来てくれる方もいればこんなこともありました。


個別音楽療法開始してすぐに、とあるご利用者が一人でフロアから歩いて来ました。

Uさん:「ねえ、私も参加していい?楽しい音楽が聞えてきたから」

西:「次の順番で呼びますので、一度席に戻ってもらっていいですか?一人ずつの参加なのですいません。次に呼びますね( ̄▽ ̄)」

個別音楽療法は15分以内です。始まったばかりなのでUさんには一度戻ってもらいましたが、10分後・・

Uさん:「ねえ、私も参加したいんだけどいい?楽しそうだから来ちゃった」

西:(さっき説明したけど、来ましたか 笑)
「えーと、もう少しで終わるので・・一度戻って・・もらわなくていいか。じゃあ、この椅子に座って待っててくださいね、次すぐやりましょう」

と距離をとって設置して座って待って頂くこともたまにあります。認知症フロアでは一度説明するも忘れて再度来られる事も少なくありません。西にとって15分はあっと言う間に思えてもご利用者の中にはその15分は長いのかもしれません。


またこんな事も。

Tさん:「ねえ、お姉さん。トイレこっち?」

西:「トイレはこっちじゃなくて反対で向こうですよ」

Tさん:「そうなの?音楽聞えてきたからこっちなのかなと思って」

西:(どんな解釈やねん・・笑)

と、音楽が聞える方向へ、音楽に参加意志なくても引き寄せられることもあるんですね。

環境によって完全に音楽が閉鎖されていない場所での音楽療法の実施では、時に個人の意欲が見られたり、興味を引き寄せる集いの場にもなる為、ご利用者と面白いやりとりもあります。

そんな面白さも味わいつつ、音楽療法を続けていきます。

今日はここまで。









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