音楽療法士の西です。
とあるデイサービスでの音楽療法でのお話。最近ご利用を始めたJさんは以前、歌の講師をされていました。フロアで流れているCDの曲はおおよそ知っていて、いつも「ふんふーん♬」と小さくハミングしています。音楽が好きなんだなーと西もいつも感じています。
そんなJさんとの個別音楽療法は、白い電子ピアノを使用して行います。
西:「今日もピアノ使いましょう!ヽ(^o^)丿」
Jさん:「わー良いねえ(*‘∀‘)」
と電子ピアノを見るとパッと明るい表情を見せてくれました。
この日は雨が降っていたので雨にまつわる選曲にしようと相談し、『有楽町で逢いましょう』『せんせい』など音楽療法士のピアノ演奏に合わせてJさんに歌ってもらいました。楽譜を見ながら集中してハミングをしてくれます。音程バッチリ、のびやかで優しい声です。さすが歌の先生。演奏ごとに「わー出来たね」とマスク越しで微笑んで拍手をしてくれます。
4曲ほど歌ってくれた後、Jさんが言いました。
「生演奏っていいね」
・・いや、ほんとにもう西も同感です。CDは使わず、生演奏にこだわっている理由は音楽療法士とJさんとの呼吸の一体感を感じられ、その日その時にしか作れない音楽の楽しさがあるからだと思います。
フロアで流れているCDに合わせて座って静かにハミングしているJさんも、もちろん素敵ですが、音楽療法ではピアノの隣に来ると毎回座ろうとせず、立ったままで体を僅かに左右に揺らしながらビートを感じて主体的に歌います。ちょっとテンポがズレそうになっても音楽療法士で合わせたりJさんでも合わせてくれたりで結果的に「出来た」と思える一曲になるんです。これが生演奏の良さであり、音楽療法の良さです。
Jさんはデイサービスを利用されたと同時に精神薬を飲み始めたり、認知症状も強く見られる日もあったりで、日常生活の中では音楽療法の時のように穏やかな面だけではありません。それでも、週に一回、ピアノの前に来られると「あー懐かしいねえ」と純粋に音楽に楽しむ姿が毎回見られると、改めて音楽の力はすごいと思います。白い電子ピアノの存在もまたJさんにとっては大きいと思います。時に「これね、ピアノの音より少し高めで歌うんだよね」と、鍵盤を指して講師の顔ものぞかせます。西も歌のプロに刺激を受けながらセッションをさせてもらっています。
これからも生演奏の良さを感じつつ、音楽療法を続けていきます。
今日はここまで。
台風シーズン到来!(; ・`д・´)
0 件のコメント:
コメントを投稿