2021年8月27日金曜日

一人一人違う音楽体験

音楽療法士の西です。

ある特養での音楽療法のお話し。
入居されているFさんはクリスチャンです。
讃美歌を歌うことが大好きです。
法人にはチャプレンが在籍しており、コロナ前はフロアで集団の礼拝をして頂いたり、個別に聖書を読んだりというスピリチュアルケアを実施していました。
Fさんも礼拝に毎週参加し讃美歌を歌っていたのですが内心はもっとたくさんの讃美歌を歌いたい、という気持ちがあったそうです。

そこで個別の音楽療法にて讃美歌集から好きな曲を選び歌って頂く、という音楽療法を始めました。こちらはスピリチュアルケア、というよりは自分で選曲し、自由に歌う事でFさんの意欲や音楽性を引き出し、維持していくという目的で進めていきました。

Fさん:「讃美歌歌えるの嬉しいわ。
    ・・ああ、これなんか良いわね」
西: 「ああ、〇〇番ですね。 
    前奏から弾いてみます」

Fさんは自分の好きなテンポと息継ぎで歌います。歌詞を見なくても、ソラで歌える曲もありました。最後の「アーメン」まで歌い終わると

Fさん:「・・いい曲ね。メロディーが素晴らしいわ。これね前に教会でよく歌ったのよ」
    「これも好きだわ、〇〇番。聴くと 
     壮大でね。」

西: 「じゃあ、オルガンの音で弾いて
    みましょうか」

Fさん:「厳かな感じになるわね」

西: 「そうですね」

と、選曲した讃美歌から感じるものや教会に通っていた頃の話、よく讃美歌を皆の前で歌ったことなどを話してくれました。Fさんは讃美歌曲に癒され、当時を思い出し懐かしさを感じていることが見ていて、直に伝わってきました。

「今日、歌えて良かった。またお願いします」とFさんは感想を言ってくれました。

音楽療法を実施して思うのはFさんにとって讃美歌であるように一人一人の心に響く音や歌、楽器の音、声が必ず何かしらあります。音楽療法とは、一人一人が惹きつけられる音楽体験を提供し、その音楽体験に一緒に寄添っていくことです。そのためにも音楽療法士は演奏技術であったり、幅広い音楽のジャンルの知識が必要になります。
60代~100歳代までの、どのご利用者にも充実した音楽体験を提供していけるよう、音楽の学びも頑張ろうと思ったのでした。


8月末でも熱中症になりそうなほど暑いって・・・気が抜けないっ(; ・`д・´)






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