音楽療法士の西です。
以前のブログで音楽療法は介護現場ではよく使う「待っててください」は使わず「待つんです」と書きました。(6月16日参照)
特養でのとある音楽療法のお話。
ご利用者のTさんは居室で寝る事が大好きで居室に閉じこもりになりがちで若い年齢ながら意欲や自発性の低下が懸念されている一人です。すぐに居室に連れていかずにフロアで過ごしてもらうのですが、じっとされている時間が長い為、月に2回ほど個別音楽療法に参加されています。
Tさんは音楽を聴く事が好きです🎵はじめは手を横に振って参加拒否が多かったのですが、今は「ピアノ聴きに行きませんか?」と声かけすると頷いて参加してくれるようになりました。
ただ、音楽療法士で選曲した演奏を聴くのみだと受け身な活動になってしまうので、なるべく二曲目からは歌集からTさんに演奏曲を選んでもらっています。
西:「今日も歌集から一曲、今日聴きたい曲を選んでみましょう」
Tさん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
返事はないものの歌集の1ページ1ページをめくり、じっと見ながら選んでいます。歌集には30曲ほど入っているのですぐには決めるのも難しいのかもしれません。
Tさん「・・・・・・・・」5分経過。
西:(めくり続けてはいるから、もう少し待つか。(゜_゜)のんびりとね。)
西:「・・・・」(゜_゜)
Tさん「・・・・・・・・」
西:「・・・・」(゜_゜)
Tさん「・・・・・・・・」10分経過。
西:(ん~歌集めくり始めて3周目かあ・・そろそろ決めませんか!?(;´Д`)前回はもっと早く曲決めていたけどなあ・・・今日は時間がかかる日なのか?そろそろ2択に絞るか?西がせっかちなだけか!?)
と相手の様子を見て心の中で自問自答しながら【待つ】んです。音楽療法の現場では度々こういう音楽が響かない時間もあるのです。
Tさんは日によっては自分ですぐに決められることもあるため早々に音楽療法士で声をかけてしまうと、自分で選ぶことの機会が減ってしまいます。自分で選ぶことが少なくなると、どうしても意欲、積極性、自発性は低下していきます。音楽療法は時にはじっと待ち、ご利用者に反応が出るか、出ないと判断しても次に緩和した方法(選択肢が多ければ2択にするなど)を提案するなど、個々に合わせて時間をかけて関わっていく事を大切にしています。
この日は12分ほど経過した後に音楽療法士で2択に絞り提案すると「どちらでも良い」との返事でした。この日は集中力も低めだったのかもしれません。このような時、Tさんは演奏後大きく拍手をしない傾向にあります。逆を言うと自分で選曲した演奏では、演奏が終わる直前に手を構えて拍手する準備をしていたりするんです。それだけ、演奏への意識も感じ方も違うのでしょう。
今後もTさんには自分で選んだ曲の演奏を楽しむ事、選曲するという能動的活動を通して居室以外での時間が有意義になるよう関わっていきたいと思います。
関東梅雨明けしましたね。いよいよ夏本番🍉です。
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